自律神経と内分泌系・免疫系
自律神経系の中枢である脳の視床下部は、自律神経の調節を行っています。 血圧や消化管の活動など内臓機能の調節のほか、物質代謝の調節や脳下垂体を介して内臓機能の調節を行っています。 自律神経系-内分泌(ホルモン)系-免疫系が一緒になって、こころや体を守ってくれているのです。
食欲・性欲・睡眠欲という三大本能が集中し、睡眠欲求など本能的と呼ばれる無意識のあらゆる欲望の中枢であると同時に、喜怒哀楽の情動の中枢でもあるため、自律神経に喜怒哀楽の影響があらわれるのです。
自律神経の働きは
自律神経には身体活動のために、脈を早く血圧や血糖をあげるように働く交感神経と、夕刻以降、血圧や血糖を下げて疲れを癒す働きをする、副交感神経があります。 副交感神経にかたよりすぎるような生活スタイル(運動量が少ない)が続くと、筋肉や血管、関節、骨の丈夫さが失われ身体能力の低下に苦しむ傾向があります。
交感神経と副交感神経の2つの神経の働きがきちんと調和していないと、体温が低くなり、筋肉に酸素や栄養素が十分にいかなくなり、いろんなつらい症状が現れやすくなります。
そして自律神経の働きが精神面からも大きく影響すると、交感神経の緊張は不眠や不安などの症状をひき起こし、副交感神経のかたよりにより、無気力など、すぐに負けてしまう、登校拒否、自殺などの要因が多くなるようです。
人間が変化する外界の環境や体調に対応し、生体恒常性を保ち生き続けることができるのは、内分泌系(ホルモン)の存在も欠かせません。
内分泌系(ホルモン)系の働きは
内分泌系(ホルモン)は体内の細胞でのみ作られる化学物質で、男女の性ホルモンや成長ホルモンなど、現在分かっているだけでも70種穎以上があります。
ホルモンを作り、分泌するのは脳の下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、すい臓(ランゲルハンス島)、卵巣、精巣などにある内分泌腺です。 過去は、それ以外の場所で作られないと考えられていました。
しかし、脳から作られるホルモンや心臓や胃でつくられるホルモンの存在も明らかになり、ホルモン=内分泌腺という概念が崩れています。
内分泌系(ホルモン)は、身体の恒常性維持に重要な役割をしています。ホルモンには、まだまだ解明されていない部分が多く、その一部が脳の中で情報伝達を行う神経伝達物質として働くものがあり、逆に神経伝達物質の中にも、ホルモンと同様の作用をするものもあります。
両者は影響し合いながらバランスを取り合うため、区別がつきにくくなっています。
ホルモンは体内で作られますが、栄養不足や栄養のアンバランスや、過度のストレスで正常に分泌されなくなります。 その結果、体調不良や病状として現れます。
生活習慣病の中には、ストレスなどによるホルモン不足や過多を原因とする病気があります。 ホルモンは、生命や生殖に関わる活動で、スイッチオン・オフの指令を出している大切な物質です。
免疫系と連携
免疫系は、自律神経系と内分泌系と情報を共有し、その機能は外界からの侵害に対して自己を防衛し内部環境を一定に保つことです。
心身にストレスが過剰に加わると、免疫系の生体恒常性が崩れ、心身症や神経症、うつ状態に陥る場合があります。 それは主にストレスに対する体の防衛反応が、こころの状況によっては、逆に悪い影響を与える方向に進んでしまった結果です。
例えば、脳が大脳辺縁系でストレス状態を認識すると、視床下部-下垂体-副腎皮質系が働いて、副腎皮質から糖質コルチコイドのホルモンが分泌されます。糖質コルチコイドはリンパ球の働きを弱めるなど免疫系の機能を抑制してしまうので、この状態が長く続くと内分泌系、自律神経系と免疫系にも重大な影響が生じるのです。
逆に、適度な神経ストレスが視床下部-自律神経系に働くと副腎髄質からアドレナリンというホルモンが分泌され、免疫カが強まる方向にも働きます。 ですから、自律神経系-内分泌系-免疫系が一緒になって、こころや体を守ってくれているというわけです。
免疫物質であるサイトカインは
免疫系のマクロファージが産生する免疫物質であるサイトカインは、免疫系だけではなく、神経系(運動神経系、知覚神経系)、内分泌系(脳下垂体、甲状腺、生殖腺、副腎などから分泌されるホルモン)の、重要な機能調節もしているなどの働きが明らかになってきました。
※健康保持増進の仕組みを乱すような生活環境が現代人の生活習慣です。
体を守る仕組みです
- ストレス解消と健康管理 top